8月29日(月),上野原市文化ホールにおいて,交通防犯弁論大会が開催され,本校からH・S君が出場しました。演題を「私たちの役割」と題し発表しました。堂々たる態度で論旨も明確でした。
「施設を辞めさせられて恨んでいた。」 強い恨みはやがて殺意に変わり,無慈悲な刃が十九人という人々の尊い命を奪った。この事件は二〇一六年,七月二十六日,相模原市の障害者福祉施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件である。犠牲者の多さから第二次世界大戦後の日本において発生した事件としては「最悪の大量殺人」とされている。施設の利用者が寝静まった深夜の三〇分から四〇分という短時間で重度の障害を持つ人を狙ったその犯行は巧妙で大胆かつ,計画的であり,恐怖すら覚える。また,テレビで被害者や遺族の悲しむ姿を目にし,心が痛み,強い憤りを感じる。 この事件のように,現代社会では凶悪な犯罪が数多く発生し,毎日のようにテレビや新聞などで見聞きする。私はいつも思う。「なぜ容疑者の身勝手な理由で多くの人が犠牲になり,尊い命が奪われなければならないのか。」と。私はその容疑者を断じて許すことはできない。また,最近は高齢者や女性,子どもを狙った犯罪も増えている。暴行を加えられたり,通り魔に刃物で襲われたりと,罪のない人間が巻き込まれている。犯罪は,加害者も被害者も不幸になるものだと私は考えている。「やってしまった」と後悔し,血や涙を流してからではもう遅いのだ。 犯罪をこの世から完全になくすことは難しいと思う。しかし,努力や工夫によって,未然に防ぎ,減少させていくことは可能である。また,それを実現させるためには,犯罪としっかりと向き合い,地域全体で真剣に取り組むことが必要である。例えば,子どもたちに防犯ブザーやGPS機能の携帯電話を持たせ,いつでも人に助けを求められるようにする。不審者の情報を地域の防災無線で放送するといったことができるだろう。実際に私が住んでいる地域では,詐欺の電話や不審者,不審な車の情報を地域に放送し,注意を呼びかけている。しかし,それだけでは安全だとは言い切れない。最近は人通りや光の少ないところで犯罪に巻き込まれることが多い。そこで暗い夜道では街灯をつけ周囲の状況を確認できるようにする。さらに,地域の団結力を深め,緊急時,迷いなく入ることができる「SOSの家」を増やした方が良いと考える。地域の死角を無くす,つまり「犯罪が起きない環境・地域」を築き上げることが重要なのだ。この環境を作るには警察・学校・そして地域で連携し,防犯への意識を高め,話し合うことが急務だと思う。 そして,今,私たち子どもにできること,それは地域の方々と交流し,密接な関わりを持つことだ。私の中学校では,学校行事として地域の老人クラブの方々と栽培活動をするなど地域の行事に積極的に参加している。このように地域の方々との「交流」そして「ふれあい」を大切にすることで私たちに関心をもち,見守ってくれる存在を増やすことができる。何気ない会話や日常の元気な挨拶が犯罪防止に繋がるのではないだろうか。 十五年間生きてきて,私が「犯罪」を身近に感じたことは一度もない。それには,温かく見守ってくれる学校の先生,そして地域の方々の存在がとても大きいと感じる。 だから私は,これからも地域の方々に元気よく挨拶をし,見守ってくれる存在を増やしていく。そして地域のつながりを強くし,「犯罪が起きない環境・地域」を作っていく。これが,犯罪を防ぐための「私たちの役割」であり,犯罪の少ない世の中にするための第一歩だと信じている。
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