6月20日に北都留支部総合体育大会陸上の部が開催された。
最終種目は共通男子400mリレー。泣いても笑っても最後のレースだ。各学校のリレー選手がコースごとに紹介されていく。どの生徒も速そうだ。3レーンから8レーンまで紹介された。
「まもなく共通男子4✕100mリレーのスタートです」
その時だった。「2レーンの紹介がないぞ! 2レーンの!」
本校生徒の紹介がない。思わず叫んでいた。
「失礼しました。1走舩木君,2走廣瀬君,3走岡部君,4走嶋﨑君」とアナウンス。安堵した。そして大人げなかったと自責の念。
知っている限り2年間はエントリーできなかった種目,リレー。
丹波山村で生まれ育ち,小学校から中学3年までいっしょに学校生活を送っている仲間がバトンをつないでゴールする。速いとか遅いではない。4人でつないでいくことに大きな意味がある。
15歳までいっしょにいれば嫌なこともあったはずだ。嬉しいこともあったろう。その度ごとに悔しく思ったり笑い合ったりしただろう。ときにはもっと人がいればと思うことも多々あったろう。しかし,現実4人。1人欠ければ,このリレーにはエントリーさえできない。1人多い5人なら1人出られなくなる。不思議な縁だし今回に関してはいい数。
日頃見ていると大人の付き合いをしている,好い加減に付き合っていると感じる時がある。どっぷりつかっていて徒党を組むこともない。ときに,この子たちはお互いにどう思っているのだろうと勘ぐることもある。
酸いも甘いも分かっている4人がバトンをつなぐ。誰かがリードしても誰かがリードされる。陸上のリレーだけではない。様々な活動でも同じでデコボコだ。それでも「俺さえよければ」と格好つける者が1人もいない。そして会話に嫌みがない。常に4人で頂点を目指しているようにみえる。部活動でも学園祭でも。卒業まで下を向かない4人であってほしい。これまでも,そしてこれからも。
私の眼にはコース2レーンが眩しく輝いていた。