雑感22 : ようこそ先輩②

 今年度から地域の方から学ぶ道徳を3回実施する。5月12日(木)はその1回目。

 講師は,青柳雄大さん。丹波中学校に赴任してよく聞く名前である。現在丹波山倶楽部の代表理事。青柳雄大さんは,丹波山村で生まれ小中学校も丹波小中学校。丹波弁を使う生粋の丹波男児。中学3年の時は生徒会長を務め,支部陸上では100Mと砲丸投げで1位,県通信陸上三種Bで1位(関東陸上出場),柔道65㎏以下級で1位,県柔道団体2位等々,輝かしい実績の持ち主。

 「高校は陸上をするために行った。」IMGP6830
 青春時代に打ち込めるものがあることは羨ましい。きっと3年間陸上に打ち込んだのだろう。 それでも,ささら獅子舞は舞いに来たという。
 大学時代はアルバイトを一杯やったために人よりも年月をかけて卒業したとのこと。打ち込んでいた部活も辞めアルバイトの日々。
「アルバイトで大人になれた気がした」「年齢が20以上も違う人と話すことで大人になった気がした」と言う。杯を酌み交わしモラトリアムの大人として語り合ったのだろう。そして,このモラトリアム時に大きく心を耕したのだろう。

 就職時,東京で酒井隆幸さんと丹波川で泳いだことやジャガイモを取って焼いて食べたこと,山の中で戦争ごっこをしたことなど思い出話をしていたが,それでも最後はその当時の丹波山村の話で花を咲かせていたとのこと。
「グリーンロード,どうなっている?」「畑は使っていない。もったいない。」……。
それが「もしかして,○○をやったら面白い。」「あれもできるかな。これもできるかな。」と。エネルギッシュである。想いや考えを実現しようとする。おそらく丹波山村に未来を描いていたのだろう。この会話がターニングポイントだったと言う。その結果,トラスト丹波山(現丹波山倶楽部)という会社を2人で創業。

 中学生に語る彼の目は輝いていた。そして常に一点を見て話をする。やりたいことはやり遂げると云う気概がある顔で。常に何かを探し求めているようにみえた。そんな彼が今の丹波中生に,
「一杯経験(体験)をしろ。手伝いをしろ。その経験が将来に活きる」
ふるさとの山や川の自然で学んだことや近所の方にやらされた作業が今の仕事に活かされているとのこと。そして,
「将来,就職がなく困ったらうち(丹波山倶楽部)へ来い。」 面倒を見るという懐の広さ。温かい言葉である。生徒たちはこんな人になりたいと思ったはずだ。まさに生きた言葉で生き様を語っていた。胸に残る講話であった。

 生徒たちはお礼の手紙で以下のように感謝を述べている。(お礼の手紙は全員が書いたがその一部)

 今日は道徳の授業に来てくださり,ありがとうございました。今回の授業ではたくさんのことを学ぶことができました。私は会社を建てれば,どんどん仕事がくると思っていました。けれど,自分から積極的に仕事を見つけていかないと仕事がないということを初めて知りました。話の中で,雄大さんが小学生の時や中学生の時にやっていたことが大人になって役立つと言っていました。なので,これから何事にもどんどんチャレンジしていきたいと思います。そして,大人になってから「あの時にこうしておけばよかったなぁ。」という後悔をしないように中学校生活を送りたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

 私は丹波に来て1ヶ月しか経っていないので分からなかったことが多かったです。でも,青柳雄大さんのお話を聞くことができ,とても勉強になりました。「大学に○○年いた」と言っていてビックリしましたが,アルバイトを頑張っていたと聞いて自分の好きなことを一生懸命やることはとても良いことだと思いました。私も好きなことを見つけて頑張りたいと思いました。丹波山村の良いところをたくさん教えていただきました。会社を立ち上げても仕事がなくて困っていたと話していましたが,お金にならなくても誰か困っている人の手助けも仕事の一つに入るのではないかと私は思っています。まだ,働いたことがありませんが,大人になったら青柳さんのように小さいことからコツコツと始めようと思います。もし,お金が少なかったとしても,その仕事のお陰で誰かが喜んでくれるのであれば頑張りたいと思います。将来への良いお話をしていただき,本当にありがとうございました。また,機会があればお話を聞きたいです。

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