雑感21 : 修学旅行の途上で

   今,新幹線「のぞみ23号」乗車中である。3泊4日の修学旅行が終わりを告げようとしている。とは云ってもあと4時間ある。生徒たちは最後の食事を済ませ,寝息をたてて眠っている。寝顔を見るのもいいものだ。しかし,安堵は禁物だ。

   この4日間でたくさんの発見・喜びがあった。なんと云っても多くの時間を3年生と過ごせたことだ。同じ釜の飯を食べた生徒たちの意外な人間関係や一人一人の知らなかった嗜好や癖等々を知った。たくさん会話をし,人間関係を深めていく,「これぞ,絆」と思った。
 それにしても純朴で力を抜かずに懸命に成し遂げる生徒4人。本当に嬉しく思う。ジリツには“自律”と“自立”があるが,人のために自らを律し大人へ一歩一歩近づいていると痛切に感じた。一回り大きくなった。修学旅行で,ベッドで熟睡できたのも初めてであった。感謝である。

  古都の奈良,雅な京都,平和の象徴広島,そして日本三景宮島など,様々な寺院・遺跡などを生徒たちとともにみてきた。拝観した神社仏閣ではあちこちの中学生の笑い声や話し声が聞こえてきた。時には日本語でない人が人目をはばからない大声も聞こえた。そして,足早に去って行く。サラッと流して…。
  生徒たちは養源院や三十三間堂,広島が良かったと言っていたが,生徒たちに「何処が一番良かったか」と尋ねられたら「広島」と即答するだろう。

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   広島の平和資料館には外国人が多かった。9割ほどいたと思う。その人たちは一つ一つ写真を見,解説を読み,次のパネルへ。ゆっくり時間をかけている。サラッと流す人もいない。話し声もしない。当然大声や笑い声も聞こえてこない。みんな夢中に見ている。原子爆弾投下による悲惨な光景と平和とは何かを知るために。ここだけは静寂で神聖な感じがした。
 かつて詩人の谷川俊太郎は「不謹慎だということはよく分かっているが,戦争は人がいる限りなくならない。但し、ヒトである限り無くす努力を」と情熱大陸のインタビューで語っていた。生徒たちにも平和の尊さを決して簡単ではないが伝え教えていきたい。だがそんなことも必要ないかもしれない。何故なら,熊本地震(今も続いているが…)のときも18 日には募金活動を教師が指導しなくても進めていた。

   稚拙なことを書いていたら名古屋を通過した。学校を守ってくれている先生や家で心配そうにホームページをご覧いただいている保護者の方々には心から感謝である。そして丹波山村教育委員会には明後日表敬訪問をしよう。「ありがとうございました」と。そう言えるようにあと4時間,油断大敵。安全を確認し無事帰宅できるよう配慮していこう。家に着くまでが旅行だから。

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